日本の工場で服飾を作るメリット・デメリットは?業界の現状や注意点についても解説!
「日本国内だけで服飾製品を作りたい」と考えているあなたへ。
自分のデザインをカタチにしてくれる工場を探すのって本当に大変ですよね。
一口に「縫製工場」といっても、それぞれの工場によって「得意分野」や「対応力」などが大きく異なります。
近年は日本国内の縫製工場の数自体が少なくなっており、自分と相性の良い工場に出会うチャンスもぐんと少なくなってきているのではないでしょうか。
しかし日本には、まだ素晴らしい技術を持つ縫製士がたくさん存在しておりますので、どうか諦めないでください。
今回は、日本国内の縫製工場で服飾の製作をするメリットとデメリットについて、業界の現状や工場を探す際の注意点などを交えながら解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
日本の服飾業界・縫製工場の現状
はじめに、日本の服飾に関する現状を見てみましょう。
日本の服飾工場の現状
日本の縫製工場は年々縮小、廃業・倒産する数が増えており、日本には大規模な縫製工場はほとんどありません。
国内であれば、
- 5人から10人前後が小規模
- 20人~30人程度の工場であれば中規模
- 50人以上であれば大規模な縫製工場
と考えて良いでしょう。
日本国内の工場は、都市部よりも最低賃金の低い地方に多く、従業員の高齢化に加えて人材の確保も難しくなっているため、外国人技能実習生を受け入れている工場も多数あります。
※参考:ファッション業界ウラ話より
服飾業界の現状
アパレル業界はコロナウイルスを機に、大きな転換期を迎えています。
近年の消費者のニーズとしては、
- 低コスト志向
- 高級志向
に、大きく二極化しています。
詳しく説明していきます。
低コスト志向が広まる
コロナ禍で外出機会が減ったことにより、洋服への関心が薄くなった消費者も多くいます。
低コスト志向が広まった要因として、
- フリマアプリの流行
- ファストファッションの品質向上
があげられます。
コロナ禍で外出機会が減ったことで、フリマアプリは消費者にとってより身近な存在となりました。
また、ユニクロやZARAなどのファストファッションブランドの高品質化が進んでおり、あえて高いものを買わなくも、これで良いと考える消費者が増えています。
このように、ある程度の良い物を安く購入できる環境が浸透したことで、消費者の間で低コスト志向が広がりました。
高級志向が高まる
低コスト思考が広まる一方、ある一定の消費者の間では、高級志向が高まっています。
コロナウイルスという危機に直面したことで、改めて「本当に大切な物は何か」を深く考えたり、トレンドに対する意識が薄れたりする風潮が見られるようになったのです。
その結果、ある一定の消費者の間で、
- 付加価値が高い物
- 季節や時代を問わず長く使える物
を買おうという高級志向が高まっているのです。
日本の縫製工場に服飾製作を依頼する3つのメリット
ここからは日本国内の縫製工場に依頼し、服飾(アパレル)を製作した時のメリットについて解説していきます。
1.発注から納品までがスムーズ
日本国内で縫製するメリットとして、まず挙げられるのが「納品までの流れがスムーズに行きやすい」と言う点です。
国内に工場があるので、すぐに連絡を取ることが可能となり、やり取りをスムーズに進めることができます。
また、急な数量の変更といった問題が起きた際にも瞬時に対応することができ、安心です。
2.小ロット対応の可能な工場が多い
発注先のニーズが細分化されている傾向に合わせ、小ロット生産を引き受けてくれる工場が多い点もメリットとして挙げられます。
現状として衣服の消費量は減っていますが、反対に消費者のニーズはとても多様化しています。
だからこそ、現代では「大量生産」ではなく「小ロット生産」が求められており、それらに対応できる工場が増えているのです。
3.信頼度が高い
信頼度の高さも大きなメリットの一つです。
老舗の縫製工場では、昔から受け継いできた技術やさまざまな実績も豊富にあるので、服飾初心者の方でも安心して任せることができます。
また国内で生産することで「メイドインジャパン」を掲げることができ、消費者にとっても大きな信頼を与えることができます。
日本国内で服飾の縫製を依頼する2つのデメリット
ここからはデメリットについて説明していきます。
1.自分に合った縫製工場を探すことが難しい
デメリットとして、最適な依頼先を探すことが難しい、という点が挙げられます。
「縫製工場なら何でも縫える」と思われがちですが、実はそうではありません。
縫製工場にはそれぞれに得意分野があり、得意なアイテムや受注の多いアイテムに合わせて、ミシンの台数といった設備を揃えているのです。
つまり、縫えないわけではないが、効率のよい生産ができないので『最適な工賃』では縫えないということなのです。
今、日本国内の縫製工場の数は年々減少傾向にあり、数少ない工場の中から、あなたの希望するアイテムを得意とする縫製工場を探すことは簡単なことではありません。
2.コストが高くなってしまう
コストが高くなるという点もデメリットの一つとして挙げられます。
細かなオーダーにも対応でき、品質も良いと評判の国内縫製ですが、人件費など海外縫製に比べるとどうしても高くなってしまう傾向があります。
国内の縫製工場を選ぶ時のポイント
ここからは、国内の縫製工場を選ぶ際に注意して欲しいポイントを説明していきます。
得意とするアイテムを必ず確認する
先程もお伝えしましたが、得意とするアイテムは、各縫製工場によって異なります。
『服飾(アパレル)』と一括りにしても
- カットソー
- パンツ
- ジャケット
- 小物、雑貨
- 帽子
など、さまざまな種類があります。
これを料理で例えてみると、料理にはフランス料理や和食、中華などの様々な種類があり、それぞれ専門性が違いますよね。
もしあなたが和食を食べたいと考えているのに、フランス料理店に行っても「美味しい和食」を食べることはできないでしょう。
それと同じことが縫製工場でも起こります。
まず日本の縫製工場に頼もうと決めた際には、ネットなどでしっかり調べ、問い合わせる際には「どんなアイテムが得意か」という点を必ず確認するようにしましょう。
コストとクオリティーの落としどころを探る
国内のみならず、生産の現場において「コストとクオリティ」の関係は非常に密接で、切っても切り離せません。
コストを下げようとするあまり、工賃をケチってしまうと、のちに大変なことになりかねません。
なぜなら加工賃が低すぎると、縫製工場はあなたの製品にかけるべき時間を削らなければならなくなります。
その結果、クオリティーの低い製品が納品され、のちに自分の首を絞めることにもつながりますので注意が必要です。
もし出てきた見積もりに納得がいかない場合は、無理におし進めず、「他の縫製工場を探し直す」か、「見積もりとの妥協点を探る」といった対応をとるのが良いでしょう。
あなたがもし、どうしてもこの工場で縫ってもらいたいと強く思うのならば、工場側に「どうすればこれくらい安くできますか?」と尋ねてみてください。
工場側との話し合いで、
- 仕上げのアイロン作業をやめたら安くできる
- 自分でボタンをつけるなら安くできる
といった妥協点が出てくるかもしれません。
ものづくりをしている職人さんも、もちろん高いクオリティで製品と作りたいと考えています。
互いにちょうど良い妥協点が見つけられるよう、まずはしっかり話し合いをする必要があるでしょう。
密に連絡を取り合うことができるか
“連絡の多いor少ない”は、クオリティに直結する大切な問題のひとつです。
良い仕事をしてくれる工場は、間違いなく連絡の回数が多いと言っても過言ではありません。
例えば、
- 資材が足りないとき→「足りません」
- 生地に傷があるとき→「減産しますか?量産まで縫ってしまいますか?」
など、こまめな連絡をくれる工場であれば、問題を事前に解決していくことができます。
その結果として、納品後のクオリティー向上につながるのです。
互いの連絡がスムーズにできるかどうか、という点は最初の打ち合わせの段階で分かることなので、その点もチェックしてみてください。
【まとめ】日本での服飾製作はコストとクオリティーのバランスが大切。
今回は、日本国内の服飾業界の現状や、国内で服飾製作をするメリット、そのポイントなどを解説しました。
現代は低コスト志向が広まっていますが、高くても価値のあるものを求める消費者もある一定数いることも事実です。
国内の縫製工場で服飾生産を考えているのであれば、工場側とのコミュニケーションをしっかり重ね、コストとクオリティーのバランスを最適化することが大切だと言えるでしょう。
日本の服飾生産自給率が低迷している中、日本でのモノ作りを考えているあなたのことを、私たちは全力で応援しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。