アパレル縫製工場での「生産スケジュール」の重要性とは?
アパレル生産未経験者にとって、縫製工場での洋服作りはまさに「未知の世界」ですよね。
自分では些細な事と感じることでも、縫製工場からしたら、とても重大な問題であった、なんてことが多くあります。
生産中の急な資材変更やデザイン修正、短すぎる納期についてのリスクを理解しないまま、縫製工場とアパレル生産を進めようと考えているのであれば、それはとても危険です。
生産スケジュールを熟考しないまま生産をはじめてしまうと、生産を効率よく行えない為、生産全体に支障が出てしまい、結果的にコストや品質に大きな影響を与えてしまうからです。
今回の記事では、生産スケジュール管理の重要性について解説していきます。アパレル企業の生産管理担当の方は、ぜひ参考にしてください。
アパレル縫製工場における生産スケジュールとは?
既に知っている方も多いかと思いますが、改めてアパレル生産における「生産スケジュール」について、簡単に説明します。
生産スケジュールとは、
- 製品を完成させるまでの各作業の期間や工程分析
- 必要な資材の調達
- 必要な人員の確保
- 完成日時の決定
などを明確にした計画のことです。
生産を計画的かつ効率的に行うために、まずは依頼するアパレル企業側が、事前に商品について良く検討した上で「生産スケジュール」を作成します。
作成した生産スケジュールをもとに縫製工場と協議を重ねることで、最終的にお互いにとっての『ベストな製品納期』を導き出すことが可能です。
アパレル縫製工場で生産スケジュール管理をするメリット3つ
生産スケジュール管理を行うメリットは3つあります。1つずつ見ていきましょう。
1.生産効率を最適化できる
生産スケジュールを作成することで、生産ラインの生産効率を最適化することができます。
製品の生産計画や進捗管理に大きな影響を与え、作業のムダを防ぎ、1着あたりの生産コストを大幅に削減することが可能です。
2.納期の管理ができる
生産スケジュールを作成することで、安定した製品納期を把握することができます。
縫製工場は常に生産ラインを空けて、あなたの製品製作のみを待っているわけではありません。
一般的に、およそ2~3か月間の生産計画はすでに埋まっているもの、と考えても良いかもしれません。
依頼主である企業側は、販売するにあたり安定的な供給が必要なのであれば、2~3ヶ月先の販売スケジュールを考慮した上で、縫製工場側の生産キャパをあらかじめ確保しておく必要があります。
そうすることで、確実に納期を遵守することが可能です。
※生産キャパを確保した以上、依頼主は確保した分の生産は実行する責任があります。縫製工場との信頼関係が崩れてしまうと、今後のアパレル生産をお願いできなくなる可能性もありますので、くれぐれもご注意ください。
3.原材料を確実に手配できる
生産スケジュールは、原材料の調達を計画するためにも役立ちます。
生産スケジュールに基づき原材料を調達することで、必要な原材料が確実に手配できるので、生産ラインの停止を防ぐことができます。
効率的に行えば、1着あたりの生産コストを抑えることができるのです。
生産スケジュールを行わないと起こるトラブルとは?
縫製工場でのアパレル生産では、生産スケジュールがとても重要です。ここをしっかり協議・検討することは「製品の品質」に直結します。
逆に、生産スケジュールをしっかり行わないことで、思わぬトラブルに繋がる恐れもあります。
ここからは「生産スケジュールを熟考しないことで起こるトラブル」についてみていきましょう。
1.資材や材料不足によるトラブル
生産スケジュールを簡単に考え、副資材等について何も決めずに進めてしまうことで、資材不足といった材料に関するトラブルが考えられます。
アパレル製品を作るためには、主材料だけでなく、裏地やファスナー、ボタンといった数多くの材料が必要です。発注先や生産地がさまざまであるため、これらを同じ日程で縫製工場へ投入することは容易ではありません。
「ボタンは入荷されたが、ファスナーがまだ入荷されず、縫製作業が進行できない」といったケースは多々あります。それにより工場への資材搬入が遅れると、生産が滞るため、納期が遅れてしまったり、場合によっては予定していた生産ラインに間に合わない為に生産中止に・・・といった可能性がでてきてしまいます。
また、発注した材料そのものが不良品であった場合も同様です。この場合は納期への影響もありますが、製品の品質自体が低下する可能性もあるので注意が必要です。
資材調達のリードタイムを考慮した上で、生産スケジュールを練ることが重要だといえます。
2.デザイン・仕様変更のトラブル
生産スケジュールの検討を行わないことで、生産直前でのデザイン変更や、それに伴う資材の追加が起こり、大幅なコスト増になる可能性が考えられます。
指示する側としては、「大した変更ではない、決定は仕方がない」と思っているかもしれませんが、依頼を受けた縫製工場側にとっては、大きな負担がかかっていることも事実です。
縫製工場との信頼関係も、製品の品質に大きく影響します。
依頼する前に、企業内で製品について事前に検討を重ねた上で、生産スケジュールを組むことが望ましいでしょう。
3.納期のトラブル
生産スケジュールの協議・検討をせずに、納期を極端に短く指定してしまうと、製品の品質低下や縫製工場とのトラブルに繋がりかねません。
縫製工場では、製品を作るためにミシンなどの機械を使用します。機械類は自動で動くわけではなく縫製オペレーター個々の熟練技術によって動かされます。
そして機械の不具合などが発生する可能性もあり、思うように進まないケースも想定しなければいけません。
また、縫製オペレーターも急かされて作業を行うことで、細かい作業ミスが発生してしまい、それが品質に大きく影響を与えてしまいます。
工場側の現状(生産状況)を考慮せず、企業側の都合で一方的に短い納期を設定してしまうと、縫製工場側が対応しきれない場合があるのです。
縫製工場には作り手として質のいいものを提供したいという信念があり、そういった点においても超短納期での依頼は避けるべきです。はじめの段階から「発注からどのくらいの生産期間が必要なのか」を確認しておき、お互いが無理の無いように調整すると良いでしょう。
【まとめ】アパレル縫製工場に依頼するなら生産スケジュール管理が最重要!トラブルは未然に防げる!
物作りには、それなりの時間と計画が必要です。
生産スケジュールの協議・検討を事前にしっかり行わないことは、品質が低下したり、生産がスムーズにいかず1着あたりのコストが余計にかかったり、と良いことは一つもありません。
また縫製工場側との信頼関係にも影響を与え、結果として品質の良い商品を作ることができなくなります。
トラブルを未然に防ぐためには、生産スケジュールについてよく検討し、最初の段階で「発注からどのくらいの生産期間が必要なのか」を確認しておき、お互いに無理のないよう調整し合うことが望ましいでしょう。